倒せるか倒せないか:「受け」

倒されなければ「受け」が成立

再生回復技を持つポケモンを使用するとき、もしくは再生回復技を持つポケモンを相手にするとき、一番気にしなければいけないのが確定3発というラインです。再生回復技を持つポケモンが2発の攻撃を耐える場合、再生回復技でHPを半分回復できるため、急所に当たるということが無い限り、普通に攻撃していては半永久的に突破が不可能です。逆に突破されない側は回復の隙を利用して相手にダメージを蓄積させることができます。
これが「受け」という概念になります。

ダイヤモンド・パール・プラチナ環境では多くのポケモンを受けられるポケモンが少ないため(昔のような感覚で「受け」という言葉を使えるのは「特殊受け」のハピナス程度)、「ゴウカザル受け」など特定のポケモンに対して役割を持つという考えかたが基本です。

「受け」の有用性

簡単な対戦を考えてみましょう。
Aさんがメタグロス、スターミー、ヘラクロスを使い、Bさんがグライオン、ハピナス、バンギラスを使用すると仮定します。Aさんは攻撃技しか持たせておらず、Bさんはグライオンとハピナスに再生回復技であるはねやすめやたまごうみを持たせていると考えましょう。

Aさんのメタグロス、ヘラクロスはBさんのグライオンを2発以内で倒す手段を持っていなかった場合、グライオンにはねやすめによって「受けられます」。さて、ここでグライオンは再生回復の合間に出来た隙を利用してメタグロスやヘラクロスに対してダメージを与えることが出来ますね。ですから、このままではAさんはポケモンを倒されてしまうので、Aさんはメタグロスやヘラクロスにグライオンを倒す手段を持たせていない場合、引っ込めて他のポケモンに交代する必要があります。この場合で言えばスターミーに交代できます。この交代際にスターミーにグライオンからのダメージが蓄積することになります。

次にスターミーはグライオンを2発以内、なみのりやれいとうビームで1発で仕留めることが出来ます。そこでBさんはグライオンを引っ込める必要があります。このときにBさんはスターミーの攻撃を3発以上耐えられる、つまり「スターミーを受けられる」ハピナスに交代することでスターミーの攻撃をたまごうみによって受けることが可能になります。スターミーは居座るとハピナスにそのうち倒されてしまうため、ハピナスを2発以内で倒すことが出来るヘラクロスやメタグロスに交代する必要がありますね。この交代際にまたメタグロスやヘラクロスにダメージが蓄積します。

さて、これを続けていくとどうなるでしょう・・・。きゅうしょにあたったりなどの特殊な事態が無い限りAさんのポケモンに一方的にダメージが蓄積していき、Bさんが勝つことになりますね。これが役割理論の基本中の基本的な考え方です。

その他の役割

その他の役割

役割理論やその後発展した様々な理論においては、「受け」以外にも役割が存在します。最終的には受けられるか受けられないかが肝心で、あとは当たり前の考えなのですが、単語として理解しておかないと他の文章を読めないかもしれないので一応説明しておきます。

潰し

相手よりも素早く相手を倒すことが出来るとき、そのポケモンは相手に対して潰しの役割を持っています。例えばゴウカザルはだいもんじによって先にユキノオーを倒せるため、ユキノオー側はユキノオーを引っ込めて他のポケモンを出さざるを得ません。この場合にゴウカザルはユキノオーを潰す役割を持っているといえます。ここでゴウカザルに対して「潰し」の役割を持つポケモンを出せば良いかというとそうではなく、例えばゴウカザルよりも素早くてゴウカザルを一発で倒せるオオスバメを出したとしても、ゴウカザルがユキノオーに対して放ったのだいもんじによってオオスバメは倒されてしまいます。なのでパーティーを作る際は「受け」に重点を置くわけです。

「潰し」に関して言うと、役割理論というのはそもそも金銀の頃に考えられた理論であり、金銀においてはどのポケモンがどのポケモンに対して「潰し」の役割を持てるかが分かりやすかったため提唱されましたが、現在はこだわりスカーフやきあいのたすき、先制技、攻撃力のインフレなどによって簡単に「潰し」が逆転しうるので、余り役割としては考えにくいところがあります。なので、現在では「○○潰し」といった言い方は余りされず、「受けを突破できる」という意味での「潰せる」など、特に相手を倒せることを強調する際に「潰し」という単語が使われることが多いです。

封じ

元祖の役割理論では「受け」と「潰し」の役割を両立できるときに、それを「封じ」の役割と呼んでいたようです。例えばランターンはねむるによってミロカロスの攻撃を受け続けることができ、なおかつ10まんボルトによってミロカロスがじこさいせいを連続で使用しても確定2発で倒すことが可能です。この場合ランターンはミロカロスに対して「封じ」の役割を持っており、ミロカロスの他ポケモンへの交代を強く迫ることが出来ます。

ただ、現在のダイヤモンド・パール・プラチナ環境において、「受け」の役割しか持たず、「潰し」の役割をもてないというポケモンは非常に少ないというか人気が無いです。「受け」であっても相手の強力な決定力の投入を防ぐために一定の決定力を持つべきであるという考え方が一般的で、「封じ」は死語といえます。

一部では、ジバコイルやダグトリオなど、相手に交代することを許さず「潰し」を行う役割のことを「封じ」ということもあるそうで、覚えておいて損は無いと思います。。

流し

金銀の頃は、「受け」られるものは「受け」られる。という考えが強かったので、「受け」の役割を持ちえるポケモンには回復技を持たせ、再生回復技を覚えなくても3発耐える、つまり確定4発のポケモンはねむるによって受けの役割を遂行させるという発想が基本でした。

それに対して潰しあいの環境といわれたダイパ時代から盛んに使われるようになった役割単語がこの「流し」です。「流し」の理論的な定義というのは見たことがありませんが、「あるポケモンに対して潰しの役割を持つことに加えて、そのポケモンに対して数回交代で後だし(相手からの攻撃をくらいながらも交代で場に出すこと)が出来る」ということになるでしょうか。

基本的にダイヤモンド・パール以降の環境は、全てのタイプの技について物理技・特殊技ができ、相手の弱点を突きやすくなったことに加えて、技の威力のインフレ、いのちのたまなどの使いやすい威力底上げアイテムの登場、ちょうはつの性能のアップなどなど、「受け」にくい環境からスタートしています。そのため、対戦環境ではみがわりの有用性が更にアップし、「相手のポケモンに潰し役割を持つときは、相手を交代させながらみがわりをはり、後続にも威力の高い技を叩き込む」という戦術が基本となっています。また、「みがわりを利用した空きの1ターンでつるぎのまいなどの決定力をあげる技を使用する」ことも多く、「受け」はますます「受け」としての役割を遂行しにくいです。

そのため、何度も何度もダメージを食らうことはできなくても、相手のみがわりを破壊して、次の攻撃で相手をひんしにできる決定力を持ちつつ、後出しできる、そういった役割の必要性が出てきたといえます。ちなみに「流し」の中で一番多いのは、「潰し」の役割を持つポケモンを相手の技を読んでタイプ半減・無効を利用して場に出すパターンです。

ややこしければ、回復技を持っていない「封じ」と考えるといいと思います。

役割の例

上記の簡易対戦例で言えば、ヘラクロス・メタグロスはバンギラス・ハピナスに対して「流し」の役割を持ち、スターミーはグライオンに対して「流し」の役割を持ちながらバンギラスに対して「潰し」の役割を持ち、ハピナスはスターミーに対して「受け」の役割を持ち、グライオンはヘラクロス・メタグロスに対して「受け」もしくは古い言い方で言えば「封じ」の役割を持つといえるでしょう。

と簡単に言えばこんな感じですが、実際は例えばメタグロスに関して言えば、「バンギラスよりも素早い場合は、バンギラスの地震以外の技を読んで出すことでバンギラスを流す役割を持つ」「スカーフバンギラスについてもじしん以外の技を読んで出すことで流し役割を持つ」ということであり非常にややこしいことになってます。

「受け」以外は感覚的なところもあり、きちんとした定義がないので、要するに「受け」られるのか、「受け」られないのか、もしくは「受け」られている(いくら攻撃しても意味が無い)のか、「受け」られていない(そのまま殴り続ければ相手が倒れる)のか、「受け」という役割だけ分かっていれば問題ないと思います。。

実際の対戦では(勝敗が決まるパターンと役割理論との関連性)

「受け」が崩壊するパターン

「受け」が崩壊しなければ対戦が終わらないので当然崩壊するわけですが、上記のとおり「受け」を成立させにくいダイヤモンド・パール環境では意図的に「受け」を崩壊させることがとても容易です。上記簡易対戦の中で言えば、メタグロスにれいとうパンチを持たせてグライオンへの交代読みでれいとうパンチを使用するだけでも突破が可能になりますし、スターミーにどくどくやめいそう&回復技を持たせたりすることでハピナスによる「受け」の成立を防ぐことも出来ます。

これらによって「受け」が崩壊した場合、「受け」が残っている方が圧倒的に有利なため、「受け」つつ安全に勝利することが出来ます。ちなみに一定レベル以上の対戦では双方において「受け」が崩壊することが多く、「潰し」や「流し」でいかに倒されずに倒していくか(例えば相手の攻撃を読んでタイプ半減を利用して出す、相手の半減読みで出てくるポケモンを読んでそのポケモンに大きなダメージを与える技を使用するなど)という技術が問われます。

「受け」だけが残るパターン

いわゆる泥仕合と呼ばれるものです。半年前くらいまでは「受け」や「流し」をたぶんに含んだ「昆布パーティー」というパーティーが流行している時期があり、泥仕合が多かったこともありましたが、現在(2009年1月)は環境が徐々に加速しており、余り多くはありません。

勝敗パターンから見る実力

相手の「受け」を崩壊させることができないまま、自分のポケモンが全て倒された場合はパーティー構築・プレイング含めて「完敗」です。
相手の「受け」とこちらの「受け」が双方において崩壊し、「潰し」「流し」などの操り方で負けた場合は「プレイングの差」です。
双方「受け」だけが残り泥仕合となった場合は、お互いがそういったパーティーであるか、もしくは両方が実力が並んでいるのに加えてどこかでミスをしたなどプレイングが微妙な場合であることが多いです。